小さな頃、つまり昭和三十年代なんだが、八幡駅から台良町には製鐵一家である母方の親戚縁者の家があったので遊びに行くことが多かった。
この祇園の市場もたいそうな賑わいだった記憶があるので、久しぶりに寄ってみたのだが……。
往時の繁盛した頃の名残だなあ。
銀天街の真ん中くらいの横道からは黒崎の煙突が見えた。
上から祇園町銀天街を下って来て、振り返った。
立派なアーケード街も寂れたというか、朽ち果てたというか……でもまだ死んだわけじゃない。もう一度、戻って市場を覗いてみることにした。
(続く)
© Junichi Nochi(野知潤一)