薄茶色の枯れ草色一色の、見渡す限りの畑の広がりの中に、遠くから何か暖かい色の一角が目を引きました。近付いて見ると、それは真っ赤に実った、唐辛子の畑なのでした。 手がかじかむくらいの寒さの中で、そこは久しぶりに見た花畑のように華やかで、気持ちをホッとさせてくれまし...
深夜のタクシー乗り場・直方駅 / A cabstand of midnight in Nogata
金曜日の深夜、タクシー乗り場は活気がある。 いつも、駅前で客を待ちながらのんびりと過ごしているように見える直方のタクシーだが、このときばかりは、次々とスムーズに客を乗せ、発車していく。この深夜の姿はいいものだなぁと思った。駅の中で、最も明るく見えた光景である。 ...
馬頭観音・宿場町木屋瀬 2 / The strange Goddess of Mercy with 3 heads in Koyanose
木屋瀬の竹林を過ぎて、いつもの散歩コースから外れた細い坂道を上ってみると、古びた観音様に行き当たった。顔が3つある珍しい像である。木札に馬頭観音と記してある。 調べて見ると、六観音の一つで、馬が濁水を飲み雑草を食べ尽くすように、煩悩を食べ尽くして、人々を救済...
最終電車・筑豊電鉄に乗って
筑豊電鉄の電車は、かわいい。たとえ、最終電車であっても、2両の見慣れた電車がホームに入って来ると、心がなごむ気がする。 この日は、金曜日の真夜中の楠橋行きにかろうじて間に合った。 「楠橋までですけど、大丈夫ですか?」と、聞いてくれた車掌さんの背中にも温かさを感じた。 ...
宿場町木屋瀬 1― 西元寺
長崎街道・黒崎宿の次の宿場は、木屋瀬である。 今でも、古い寺院が多く残されている。 浄土真宗のお寺は、この西元寺(さいがんじ)である。「天正10年に初代が開基、2代目が寛永元年に仏殿を建立し、この寺号を賜った」と、文献にある。431年前...
子供達の商店街・直方市古町
JR直方駅から、遠賀川方面に十字に伸びる古町商店街を歩く。 客足は、直方イオンや他の大規模スーパーに流れ、かっての活気はもう見られない。代わって、閉店した店舗のシャッターの前は、子供達の格好の遊び場である。 閑散とした通りに、賑やかな笑い声が響き渡り、道行く人を思...
6本のポプラ・12月
本当は、何の木だかわからないのだが、勝手にポプラと呼んでいる、 6本並んで聳え立っている、相当に高い樹木である。いつも遠くから見るばかりであったが、ある秋の日、側に近付いて見上げてみた。 イガイガのあるおもちゃの様な、かわいらしい黄色い実があちこちについていた。カラ...
空のグラディション ― Gradation of The Sky
見渡す限り、空の下を歩く。 雲は、刻々と流れ、表情を変える。 この空の下にいることが、わたしの今の、小さな選択。 どんなに面白い映画を見るより、ここにいて、この空をずっと見ていたい。 様々な人生の影が、わたしの頭を過る。 ちょっとの間、ここにこう...
雨上がりの交差点 ― A Crossing After Cold Rain.
いつも好きで、よく通る道。 走ったり、歩いたり、あるいは、犬と連れ立って。 夜通ると、全く別の顔を見せる。 遠く離れた街灯の間は闇に沈み、何があるのかと目を凝らす。 珍しい11月の氷雨の後。 この道は、ライトの反射を映し出し、昼間の姿を一瞬取り戻した。 ...
美しきメルカート・旦過市場
旦過市場に入ったのは、数十年振りである。 懐かしくて、妙に嬉しく、夢中で中を歩き回った。 裏覚えだった鯨屋が、確かに今でもある。 入り口近くの花屋。 淡いほんのりとした色の、かき餅を売っている餅屋も、健在であった。 母に連れられ、足元から...
雲とすすき・直方の11月
犬を連れて、11月の夕方、歩き回る。犬の行くまま、あちこちと散策する。 ある空き地に近付くと、すすきが風に揺れていた。リズムがあって、まるで優しく歌っているみたいだった。 雲とすすきの、ふわふわ感がとても似ていると思った。 © Kayoko Shinb...
街路樹の夜明け・八幡西区星が丘・11月
11月のある日の夜明け前。 星が丘の長い長い坂を上ると、街路樹の暗く沈んだ枝の隙間から、一瞬、太陽のまぶしい輝きが垣間見えた。 その瞬間、雲も木々も、再び色を帯び始めた。 © Kayoko Shinbara(新原 香代子)
坂の上のトタン小屋
八幡西区と直方市の境、201号線へと向かう、急な坂道を上りきったところに、赤錆の浮いた小さな小屋がある。この辺りで、人に会うことはまれである。この日、空は濃いブルーで、赤茶色のトタンの壁は、とても美しく見えた。 © Kayoko Shinbara(新原 香代子)
八幡西区星が丘。紅葉を仰ぎ見る。
街路樹がいつのまにか、真紅に色づいていた。 仰ぎ見ると、澄んだ空をバックに、緑のままの木と色づいた木が、生地の模様のように見えた。 © Kayoko Shinbara(新原 香代子)
直方。廃屋の庭の片隅で。
誰も住まなくなって、何年が経過したのだろう。崩れかけた廃屋の庭の片隅に、草に覆われた犬小屋を見つけた。錆び付いたホースが、蛇のように屋根に巻きついていた。 © Kayoko Shinbara(新原 香代子)
