老人と海
近所のおじいちゃん。毎日、長い時間海を見ている。
戦争で、私の大叔父と共に、海軍の船に乗り、大叔父は船と共に海に沈み、このおじいちゃんは助かった。
もう九十歳はゆうに過ぎているが、とても元気で、海に入ってひじきを採ったり、田んぼを作ったりしていたが、最近は物忘れが多くなり、家族から漁業や農業を反対され、今は近所を散歩しながら、朝も昼も、飽きもせず、海を眺めている。
海の町に生まれ、海で友を失い、海の側で老いていく。
今、このおじいちゃんの目に映っている『海』とはなんだろう?と、おじいちゃんを見ながら考える。
(iPhoneで撮影)
©Yuko Matsushita(松下ゆう子)