洞海湾を想う。
黒崎港正確には妙見泊地とでも言うのだろうか、黒崎から唯一若戸大橋が望める場所。
カモメも気持ち良さそうにフライトしながら私を見下ろす。
きっとカモメは知っているだろう、私の知らない郷里の景色を。
飛べないならば、海に自由を求めたい、何故黒崎から遊覧船を出さないのだろうか、若松と黒崎はこんなに近いのに。
黒崎育ちの私は、大海原を求めはしない、子供の頃から近くにある洞海湾を愛する。
世界一汚いと蔑まされ、嫌われながらも懸命に美しく成ろうとする姿は北九州市をそのもではないか。
『鐵は国家なり』この海無しにはなし得なかった。
洞海湾、なんと懐が広いのか、さんざん汚されても何も言わず耐えてくれた。
そして今なお、北九州を支えてくれる、この海の情景をもっと知りたいと思うのは私だけではないはず、今日も妄想は尽きない……。
© Michiteru Hori(堀 道輝)