門司港に日本丸と海王丸がやって来た - 3
帆船を撮影しようと近寄ると、その大きさに驚くだろう。海面からマストのてっぺんまでは50メートルほどある。どの角度から、どこを撮影しても美しいのだが、ぼくのお気に入りの一つは船尾だ。実に優美なお尻なのだ。
この後部甲板にはホイールハウスがあり、帆走の時は当直オフィサーはそこからそれぞれの帆に風がいい具合に入っているかどうかを確認しながら、操船のオーダーを出す。
ブリッジ(船橋)にはルックアウトが立つのだが、操舵は後部なんだね。この後部甲板からブリッジまで指示するには、相当大きな通る声じゃないといけない。
案内してくれた当直オフィサーに「日本丸と海王丸、どちらの搬送性能が上か?」と聞いたところ、「海王丸です」という答えであった。二代目日本丸は1984年に建造され、その知見を活かして1989年に建造されたのが二代目海王丸。さまざまな改良が加えられたらしい。フェザリング式可変ピッチプロペラの採用によって、特に低速帆走時におけるプロペラ抵抗の軽減を図り、帆走速力の向上が図られたというのが大きいのだ。
先代の日本丸、海王丸には船首像がなかったのだが、二代目日本丸建造時に東京芸術大学の西大由教授によって制作され、日本丸II世の船首像は手を合わせて祈る女性の姿をした「藍青」、海王丸の船首像は横笛を吹く女性の「紺青」である。1989年に海王丸が引退した際、船首像の「紺青」は海王丸II世に引き継がれたという。下の写真と航海訓練所の記事も読んでください。
日本丸 概要 | 航海訓練所
海王丸 概要 | 航海訓練所
© Junichi Nochi(野知潤一)