看板の価値 @旦過市場
旦過市場ではお店の看板も面白い。
その中でも気になっていたのが、旦過中央市場の路地奥のお店。以前は週末の夕方だったので、お店は閉まっていたし、電気も消えていたので、暗闇にほのかに浮かぶ見事な看板に気がついたものの写真は撮らなかった。
この日はお店も開いていたので、おばさんに声を掛けて写真を撮ろうとしたら、「この四枚が価値があるんだよ」と指をさす。ぼくは「帝國佃煮」の方が立派に見えたのだが、それは貼り合わせの板で、その隣の「カモ井の佃煮」は一枚板で比べ物にならないらしい。
「戦前から続いているのですか?」と聞いてみたら、店を開けたのは昭和三十五年とのこと。それならばぼくは親父に連れられてもう旦過市場に来ていたと伝えると、「あの当時の賑わいはすごかったね。今じゃ、その面影もなく、寂しいよ」と言っていた。
© Junichi Nochi(野知潤一)