写真 空閑 学
文 十鮃寺 多聞
文 十鮃寺 多聞
一時間後、俺達は小倉駅北口のペデストリアンデッキのベンチでビールを飲んでいた。メーテルの銅像が俺たちには関心なさそうに隣に座っていた。
夜の駅はJRで帰宅するサラリーマン,高校生が足早に通り過ぎていく。下の階からは路上シンガーの誰かのまねみたいな歌声が聞こえてきた。
「結局これでよかったんじゃねー? 警察に届けられる心配はないし、どうせレジにも3万円ぐらいしかはいってないって言ってんだろ」
コムロは満足そうだった。
「それにしても、藤本さ、お前本当に三日月ハゲあんの?」
ウメズが思い出したように,にやにやした。
「あるよ、あることは……」と俺はそっぽを向いたまま、昔のアダ名を知られた不愉快さをビールの苦さといっしよに飲み干した。
夜の駅はJRで帰宅するサラリーマン,高校生が足早に通り過ぎていく。下の階からは路上シンガーの誰かのまねみたいな歌声が聞こえてきた。
「結局これでよかったんじゃねー? 警察に届けられる心配はないし、どうせレジにも3万円ぐらいしかはいってないって言ってんだろ」
コムロは満足そうだった。
「それにしても、藤本さ、お前本当に三日月ハゲあんの?」
ウメズが思い出したように,にやにやした。
「あるよ、あることは……」と俺はそっぽを向いたまま、昔のアダ名を知られた不愉快さをビールの苦さといっしよに飲み干した。
© Manabu Kuga |
―了―
短編連作『小倉三文オペラ』