北九州地域で有名な鉄道遺構としては、槻田川にかかる明治時代に廃止された大蔵線の茶屋町橋梁がありますが、こちらはもっと古い鉄道遺構です。
九州鉄道が明治23年11月15日に赤間-遠賀川間を開通した際に供用開始されたレンが積み橋梁です。 岡垣町教育委員会によって、海老津赤レンガアーチと名付けられています。 海老津駅の博多寄り1.3km付近の東側にあり、下り列車からでは進行方向左側に見えます。
説明板にあるように、当時は城山峠を登って超えていたようで、峠越えの難所として赤間駅や遠賀川駅には補助機関車が待機していたようです(当時海老津駅は未開業)。
19年後の1909年に現在の城山トンネル経由の新線が開通しそちらに切り替えられたため、このレンガアーチもわずか19年で役目を終えることになりました。
大蔵線と城山峠の旧線はどちらも廃止されて100年以上経ちます。 大蔵線跡はその後の都市化の波にのまれ現在ではほとんどわからなくなっていて、茶屋町橋梁や尾倉橋梁にその面影をわずかにとどめるのみです。
こちらの旧線跡も同様で都市化の波こそ訪れてはいませんが、一部は国道3号線(旧道)に転用されているものの、やはりGoogleマップの航空写真を見ても旧線跡はわからないです。
(関連年表)
明治23年(1890年)
- 11月15日 赤間-遠賀川間開通(赤レンガアーチ供用開始)
- 2月28日 遠賀川-黒崎間開通
- 4月1日 黒崎-門司(現在の門司港)間開通(大蔵経由/茶屋町橋梁・尾倉橋梁供用開始)
- 12月27日 黒崎-小倉間で八幡・戸畑経由の新線が戸畑線として開通
- 7月1日 戸畑線が本線となり、大蔵経由の旧線は大蔵線と改称し支線となる
- 11月5日 城山トンネル開通に伴い、赤間-遠賀川間を現行の新線に切り替え、旧線廃止により赤レンガアーチ使用停止
- 10月1日 大蔵線廃止、茶屋町橋梁・尾倉橋梁使用停止
2016年4月24日撮影
© Satoshi Miyamoto (宮本 哲)