木屋瀬の竹林を過ぎて、いつもの散歩コースから外れた細い坂道を上ってみると、古びた観音様に行き当たった。顔が3つある珍しい像である。木札に馬頭観音と記してある。
調べて見ると、六観音の一つで、馬が濁水を飲み雑草を食べ尽くすように、煩悩を食べ尽くして、人々を救済する神様らしい。このように三面や腕が6本あるなど、異形の姿をしていることが多いようである。馬の無病息災のためにも祭られていた、とある。
馬と共に旅をしていた当時の人は、馬の安全も願ったに違いない。もしかすると、宿場まで後少しの距離の、この場所で力尽きた愛馬の供養の為に、この観音様を建てたものかもしれない、などど想像は膨らむのであった。
©Kayoko Shinbara(新原 香代子)